その本の要点は単に「幸せですか」だ

 http://www.lifehacker.jp/2013/01/130115book-to-read.html

この本私も読みましたが、なんでこんな引用のしかたをしてるかよくわかりません。本著の全てのモチベーションは冒頭の「序項」にあり、こちらの方が本著の「人生訓」のバックグラウンドが分かりやすい。

  • どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう?
  • どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せのよりどころにできるだろう?
  • どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?
上記の記事は、あたかも本著が「我々がビジネスに成功するために、経営戦略をどう人生訓に落としこむか」といった日本のネット界隈で話題になりそうな情報であふれているかのように書いていますが違います。

筆者は確かに『イノベーションのジレンマ』も書いてますし、本著もそういう引用をしています。ですが、結論は「ビジネス上の成功」ではなく「人生の幸福の増加」に向けてであって、全く違う方向を向いている。

本著は「ビジネスで成功してるっぽいのになんでお前ら不幸なの」というハーバードビジネススクールのOBを見て「あかん、仕事だけやないんや……」という思いで書いた様子がずっと強いのです。

この本のサブタイトルを読めばもっと分かるはずです
  • 第1部 幸せなキャリアを歩む
  • 第2部 幸せな関係を築く
  • 第3部 罪人にならない
最近ネット界隈で見る記事はことごとく「どうやったら俺勝ち組になれる!?なれる!?」という腐臭で溢れてるのですが、本著はそれとは真逆です。一方、上記の記事がなんだかPV稼ぎに走るかのような微妙なまとめかたをしていて、なんだか微妙です。

エンロンのスキャンダルを巻き起こしたCEOについて序項で書かれています。「あ、あんなに言われるほど悪い奴じゃないよ。それどころかふつーにいいやつだったの!」と筆者は言います。しかし、卒業した学生の中に実際に犯罪にまで手を染める人がいること、ビジネスで成功しているのにプライベートが崩壊して不幸になっている人がいることなど、気がかりな現象があったわけです。で、そういう人生の罠が何でそんな優秀な人に襲いかかってるのかねぇ、と考えて、本著があるのでした。

確かに、この本の第一章に、理論を武器にすることがビジネスと人生においてどう有利に働くか、ということが書かれてます。ただそれは「個別の現象ではなく世の因果を学ぶことに価値がある」という意味であり、「経営戦略を人生訓に落としこむ」という表現から感じるニュアンスとはだいぶ異なります。

じゃぁ本著は良著か。答えは「イエス」です。特に最近私が目にしている議論の死角を本著が適切に突いてきている、見落としがちな視点を与えてくれる、という意味では特にそう。これを読んでから、自分の人生設計について考えなおすことが私も増えました。そういう意味では、上記の記事も正しい本に目を向ける正しい役割をしているとは言えます。

みなさまも店頭で序項を立ち読みして筆者と問題意識をシンクロナイズ出来るか試すくらいはやって良い気がします。さもなくばここから買え

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