本を読むメモ

最近直近の仕事で全く新しいケースを扱う必要が多く、分量もそれなりという状態になってる。本当にすぐ必要というものについて読みつつ、どういう戦略を立てるかについてまた考える必要がありそうだ。

私はだいぶ前からビジネス書籍というのが好きで、ただこの分野にあまり役に立たない本が多いというのは分かっていた。そういうのを読み始めたのは大学頭くらいから。

ハズレを引いてダメージを極大化する、というのを避ける必要はある。読む中でハズレを完全に避けることは難しいから、せめてハズレによって後々生活を引きづらないようにするべき、というのは普通の思考だろう。ところでそんなに有害な本があるのかと言えば実際ある。最近のエセ自己啓発には生活で「〜をするとよい」というのがあるわけで、それを半年やって効果がない、という状態がハズレによって生活が引きづられる事態の一つだと言える。ただし一方、そういうのを恐れすぎて、効果のある方法が目の前にぶら下がっているのにケチをつけてそれを取らない、というのもまた、いけない。

とりあえず私が以前から基礎としているのは、とりあぜう日本人著者の勇み足はなるべく避ける、ということだ。1ヶ月で棚から消えるたぐいのものは「面白い」としてもタブロイド紙や三流ゴシップ誌のそれだと理解しておく必要がまずある。「参考になる」とか言う感想を述べる前に、その時間を使っておそらくは何やっても大体その感想と経験の集積にはなるであろうことを忘れないこと。数時間で飛び抜けて優れた知見を得られる、そういう可能性にかけられる本であることが必要で、そういう本なのであれば書籍の棚から1ヶ月で消滅したりはしない。つまり、次節折々の風景を面白おかしく書いた本というのは、多分読まなくて良い。

長く残る中で個人的に強力だと思っているのは「海外でベストセラーになったビジネス書の中でも日本語訳されて話題になって長く残っているもの」という二重のフィルタがかかったもの。このフィルタで私が個人的にハズしたと思った本は非常に少ない。非常に世の中的に分かりやすいところで例えば『7つの習慣』などは、そのうちの一つであっても一つでしか無い。誰かが「『7つの習慣』読んだら世間のライフハックが涙目」とか言っていたが、実際には、多少探せばそのくらいのレベルの相当強力な知見を与えてくれる本は「山のように」ある。探し方次第でしかない。オンラインで流れる情報は、それをバイパスする人のレベルに均されていく、ということも考えておきたい。

この方向性で極端を突き詰めると、深遠そうで対して先に進めていない幾つかの袋小路分野につきあたることがある。一般生活の上ではこういった範囲に気づいたら戻ってくるのが適切だろう。ただ、つきあたるあたりに近づく意味はあるかもしれない。

最近では上記のような方向性では明らかに力不足な問題というのも感じてきた。一つには日本独特の事情、一つには日本人独特の事情。こういったものは海外の一般論ではまず局所的に必要な情報が足りない。日本史や日本近代史に関する事情は必須弱くなるし、すると直近でそういう範囲で解決するべき問題についての発言の裏を理解する上では弱点が多くなる。そしてさらに苦しいのは「直近でそういう範囲で解決するべき問題」にこそ、胡散臭い主張が多く盛り込まれた書籍が群がっていて、だから上記のようなフィルタが強烈に欲しくなるということ。

この方向での問題については「批判的思考を突破する強力な主張」をかき集める程度にとどまる印象がある。ちなみに上記の「海外の本」のコンテクストでもここは同じで、つまり自分が反論するつもりで読んでいても納得する主張には耳を傾ける、というのは、より一般論としてはやはり役に立つ気がする。副作用は「書評の態度がでかくなりがち」といったところだろうか。

全く逆で、可能な限り相手の意図を解釈した上で、相手の弱点を補強し、かつより一般的な主張に置き換えられるかを、著者置いてけぼりでやってみる、というのも、本を読む上では役に立つ。この辺りは重度の文系の本読みがやりがちな失敗例にもなりがちなのだが、ただ思考実験としてはよく、また本の非難を避けつつ悪書の放逐に役に立つ。読み終わった頃には何の本だったかどうでも良くなるくらいに提起された課題を勝手に突き詰めればよいゆえ。

そういう本を弄するたぐいの読み方は前提として基本的な判断力があることが前提になる。国語力が最低限ない状態ではどういう本を読んでも解釈に限りがあるだろうし、曲解も増えるだろう。とりあえず出口汪の国語受験関係の本を読んでから色々考えたほうが大抵の場合うまくいくような気がする。

ところでマイケル・サンデルはとある政治哲学の講義の冒頭で「哲学勉強すると以前の自分には戻れない」と指摘した。これは読書や読書力についても言える。幸せになりたいということで読んでみたらよりげんなりする、という可能性はあるだろう。だから、本を読む前に本を読んで後悔しないかを考え始めたほうが有益かもしんない。





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