自由な経済とか言うアレ

なんとなく。経済理論的にどうこう、というのはそこまで深く追求できないけど書いとく。

GDPや貿易の総量を増やしたい場合、関税等を撤廃、人の流れを自由にするのが良い。

ただ、この動きの結果として現在の世界で実際に起きたのが1%への富の集中でもあった。つまり、GDPが増えても特定の国の特定の国民層が納得するわけではない。n人いる国民に対して個々に配分された金銭・福利厚生・社会的満足度等を総合した「幸福度」xi (i=0〜n)を求めて何らかの総和を計算したら、GDP(もしくはお金の総量)は増えてもその「幸福度」はここ数年で大きく減ったと判断する事はできるんだろう。あいにく、恣意的な指標という誹りを逃れられないだろうけど。

人の流れや関税で壁を設けると、理論上GDPや貿易の総量が減り、金銭的な指標で見ると経済が停滞するか衰退する。一方、その壁によって守られる人が生まれ、そういう人は喜ぶし、上のナイーブな「幸福度」も上がる可能性がある。国内回帰を志向するのなら妥当なことであって、そこだけ切り出したら「なんだ、まともじゃん」ということにも出来る (「幸福度」の設定方法ががいい加減だからだけど、素人の肌感覚からしても、おかしいとは感じられない)。

普遍主義への挑戦というのは、どっかのテロ組織の根っこにある宗教にしろ、どっかの国の特定の人種の昔ながらの労働者層にしろ、普遍化で損をする価値観の人が許容できないほど利害が対立したときに起きる。測定基準が経済学者とリベラルが有利なものさしで出来ている中で「この基準に従って理論を構築したらお前らみたいな主張は通らねんだよ」という主張をしても、その基準で損を被った人々は絶対に納得しない。

ただ、運が悪いんだか必然なのだか、地動説と天動説について科学という視点からどちらが正しいのか判断出来るのとは違って、人文系でのこの手の主張の衝突には、科学のような「上から目線」を設定するのがとても難しい気がする。どこまでも人と人の間の物事。これを「めんどくせぇ」と思うと技術決定論・功利主義まっしぐら。

とはいえ「壁」の副作用というのはやはりあるのだろ。壁を設ければ理論の通り、一般的な経済指標では伸びしろが減る。その伸びしろの減り具合は、ダイレクトに株式の平均価格に反映される。株式市場がボラリティを越えて長期的に見れば成長する、という前提が成り立たないとマズい人々というのは、1%云々とはあまり関係ない領域でも相当いて、今は社会が市場主義社会であることから、社会全体がそうなってる。

現在でも良くて数%成長という時代にこれをやれば、結局金銭的な指標で見た経済はマイナスになるのが目に見えている。……というのが知識人・リベラルみたいな人々の「正しい」言い分なのかもな、と思う。

これを世界に対する「ダメージ」とでも捉えとく。「もういいよ、ダメージは知らん」という態度はこの場合、多分完全な自暴自棄とは少し違う。経済指標と連動しない一部の労働者は国内に工場が戻ってきて喜ぶので、そういう人には喜べる展開だったりするかもしんないし。その将来、工場を必死に戻してきたその企業自体が潰れたら、元も子もないというそこまでは考える余裕はない。そのまえに死ぬくらいなら後で死ぬのだ。

ダメージの入る順序は大事で、壁の作り方によって変わる。何らかの(誰も分かっていない)丁寧な方法でやった場合、1%の富の集中が一度は緩和され、そのあとに景気後退という形で守られている人にもダメージが入る段階に至る、あるいは、1%の人がその富を以前の分配水準に戻すまでその人々にだけ延々ダメージを与え続ける魔法の壁すらあり得るのかもしれない。多分そんなうまい話にはなりそうにないけど、8年(二期)以上、短くて1年(スキャンダル)あればやりたいことはやれるはず。

ロビイストのような人々が主導権を握って順序が歪むと、結局1%の富は維持されて、状況は全て守られるつもりでいた壁の中の人たちにだけ向かう可能性もある。

自暴自棄とは少々違う意味で、どっちでも「もういいや」と思っている層がいる、ということなんだろう。国家間視点ではあるけど『繁栄と衰退と オランダ史から日本が見える』にはこうある。
しかし何よりも恐ろしいのは、国際的摩擦が高じると、自分の国は損をしても相手の国に与える打撃の方が大きければよい、という論理になってくることである。戦争などはその最たるものであり、自国民の血を流しても相手をつぶせばよいということである。 (ページ忘れた)
置き去りにされた人々は自暴自棄になるのだから、似たようなもんだな。ウォールド・ガーデンの壁が国家間なのか国家内の特定の領域間かの違いのような気もするし。

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