『快楽の館』

篠山紀信、原美術館をヌード写真で埋め尽くす──「快楽の館」へようこそ
ヌード写真展というものをほぼ見た経験がないので比較対象もないが、書いとく。

品川駅から南に歩くこと10分〜15分ほど、原美術館は住宅街にひっそり存在する現代アートの美術館。入り口の看板がなければ違和感なく住宅街に溶け込むようにも思える、そういう建物。

入館前の入口付近には下着(?)姿の女性の等身大写真があり、ここまでが撮影可能エリアで立ち入りが出来る。ある意味「リミット」も低くなっており、快楽への入り口を意識させる。

基本的に、撮った空間に隣接する形で巨大なヌード写真が飾られている (入り口付近の写真もそれに倣っている)。そのため、単に写真を写真集などで単体で見るのよりも、「その裸体がここにいた」という感覚でヌードを見ることになる。インスタレーションの一種として見るという考え方があると思う。

写真と実際の空間を交互に見ると、リアルの空間はいわば「もぬけの殻」だ。アダルトというよりも、そこから派生して生まれるモデルの「存在感」が本物の空間から抜け落ちる感覚。美術館が少し古い建物であること、現代アートのための建物であるということからか、抜け落ちる前後を対照させる建物として優れている。常設展示(というよりも単に部屋自体が展示物)になっている部屋に対してもその対比が行われ、やはり、存在感の有無をはっきり感じさせる。特に「ゼロの空間」はじわじわくる。部屋の「ゼロ感」を写真が使いきれてないという気も少しするけど。

これが単に綺麗なオフィスビルだと、どちらかというと「例のプール」に印象が近くなってしまうと思う。「現代アートの少し建付けの古い美術館が、期間限定で快楽の館になる」というストーリーが重要なのだと思う。

30人超の女性モデル。モデル名はスタッフ一覧の一部として入口付近に掲げてあったものの、自分は特に記憶していない(写真撮影が禁止の空間でもある)。知っているモデルは一人しかいない(後述)。

写真をみる限りでは、バレエを彷彿とさせる筋肉美を備えた写真もあれば、現場で見ていて「普通にAV女優な気がする」という雰囲気を醸し出しているモデルも複数人いる。後で調べてみたところ、案の定そのようだった。モデルごとの裸体の「性質」の違いがあり、写真の撮り方は一様でなく、美術館の雰囲気にも対応させ、全体的にうまくシンクする写真になっている。

一部屋マッチョの男が専有する部屋があり、これもインパクトがすごい。この部屋には特に男性は長居出来ないと思う。快楽と謳う中に圧倒的な筋肉である。住まうものが女性ばかりの「快楽の館」にただ一人飼われているオトコ、のようなアイコンを感じた。

どの軸にも振り切れない路線の壇蜜もモデルの一人。背景の苔むした感じとの相性はとても良いのだけど「ここで壇蜜、かー(´・ω・`)」みたいな印象で、少しマッチしない。この方の裸には仕切りではっきり切り分けられた一線が感じられ、それが本展示の中ではイマイチと思われた。とはいえ扱いが変なわけでもない。特に(たしか)1Fの巨大写真はインパクトがある。この写真は一部公開されている写真のなかで公開されていないものの1つで、現地でしか見られないインパクトはやはり大きい。

写真を撮る・見る側が、館に対してやや外部者に見えるような構図も感じる。来場者たちがいないときこそが本当の意味で「快楽の館」であって、来場者は宴の後に来たよそ者なのだろう。

自分が行ったときには女性客の方が多かった。個人的には草食系男子にお勧め。


このブログの人気の投稿

LibreOfficeで表紙、目次、本体でフッターのページ番号のスタイルを変える

WiiUのコントローラが通信不良に陥った話

技術書典2 あ-03 『もわねっとのPythonの本』