12人の優しい日本人

12人の怒れる男: http://dmiyakawa.blogspot.jp/2015/01/12.html

怒れる男がアツい作品だったのに対して、こちらはそこはかとなく「ダルい」作品。いや作品がダルいのではなく、12人の日本人がダルい。人間のダルさは今よりも昭和っぽい感じがする。

良くも悪くも元になった『怒れる男』を見る必要はない。どちらの方が良い悪いという評価も正直出来ない。ベクトルが全く違う。

敢えて言えば、『怒れる男』は陪審員制での議論のあり方のようなものが強く出ている気がする。『優しい日本人』は、陪審員制をネタに(当時の)日本人の色々なびみょーな態度が強調されている。『怒れる男』は「ああすげぇ」なのに対して『優しい日本人』が「ああだりぃ」になったのは、各々の態度が分かってしまう自分がいるからなのかもしれない。

『優しい日本人』の陪審員による事件の結論は『怒れる男』のそれよりもグダグダに見える。要は最終的には合意が取れればよし、にちょっと近い。穿ってみると、視聴者は陪審員より一歩先を見て「ああ……これは……」と事件の真相を見れる気もする。そこまで行かず、なんというか「あ、全員一致になったんでwww」みたいなところがある。

(以下ネタバレ)

思うに製作者が暗に示したいのは「男が女を突き飛ばして救った」のに、何故か裁判になってる状況なのではないかと思ったのだ。男が飛び込んだ、というのはあり得るけどおかしいし、そこで日本人が手を打ってしまうというのは、それはそれで気が利いている。物語の最後の説明は、自分には男が「悪魔のような形相で」トラックが自分たちに飛び込んでいることに気づき、女を突き飛ばしたというものだ。もっともそれなら女は尻もちを付いているのではないか、といったもっと別の疑問は湧くのだが、本編でそんな説明はもちろんない。

(以上ネタバレ)

風刺というか、茶化す目的としては非常に手が込んでいていいのだけど、ストーリーとしてはそれほど興奮する真っ直ぐさがない (『怒れる男』は興奮するのだ)。『優しい日本人』について言うと、途中で切り上げてもそれはそれで面白いだろうし、最後まで見ても全くすっきりしない。

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