村上春樹『小澤征爾さんと音楽について話をする』

「諸事情」によりまとめて時間を取って一人で勉強というのが長く続けられない状況でもあって、惰性ながらいまさら「のだめカンタービレ」のアニメ版全部と実写の劇場版前後編を見た。今更感はあるんだけど、今と違うのは携帯くらいで別に今やっても大丈夫じゃね、感はあった。

全体として当然ファンタジーではあるんだけど取材が相応に出来ていたし、あと実写劇場版について言えば「正月に見るやつ」(ウィーンフィルのコンサートホール)とかは良かった。アニメではこれは出来ない。ポン・ヌフ飛び蹴り実写で見たいんだけどドラマを見る方法が手元にないんだな。

ここで飛び蹴り(多分)

で、成り行きでどうしても気になったのがひとつあって、のだめ+シュトレーゼマンのショパンのピアノ協奏曲第1番ホ短調のピアノ。うーんどういう演奏だったんだろ。あと、実際のところどうなんだろうと。私はオーケストラほとんど聞かないので、そこまではっきり分かる差異というのがあるんだろうかとか。

で、「とりあえず」手元にあったカラヤン指揮の中から劇中に出てきたものを聞いたり、Spotify契約して数パターン聞いたり(アホ)、図書館からのだめ実写のサントラ借りて「のだめ版」聞いたり(これは多分結構「再現」してる気がする。溜めが……)して、なおのこと「実際差ってあるんかなー」とか考えてた。で、カラヤンのWikipedia記事見て小澤征爾の項目に流れて気づくと『小澤征爾さんと音楽について話をする』という本を読んでた。結論としては「実際めちゃくちゃある」で、指揮者目線で「これねーわ」的なレベルで演奏するところまでつっぱしっちゃうとか。

同書ですげぇなぁと思うのがむしろ村上春樹の方で、お前どんだけ聞いてんだというくらい詳しい。すごい素人だな、と。ジャズについては『騎士団長殺し』で騎士団長にセロニアス・モンクを語らせてるシーンで「やべぇ」と思ったのを覚えてるので分かるんだけどオーケストラもか。いやそういえばオペラ「薔薇の騎士」とかさらっと出てくるわけだからそっちもやばいのか、と。

それはともかく、特に面白かった一節がこれ

小澤「カラヤン先生はいつも録音エンジニアに細かく要求するんです。こういう音で撮ってくれって。カラヤン先生の場合、そういう音の枠の中でのフレーズを作りますから。フレーズのうねりがそういう響きの中でちゃんと出るように音楽を作ります」
村上「風呂場で歌を歌うみたいに」
小澤「悪く言えばそうなります」
カラヤンを風呂場呼ばわり出来る人は多くない。やっぱこの人すごいわ、変な意味で。

同書にはのだめに関する言及は一切ないんだけど、作中を思い出させるようなエピソードなどもあって興味深かった。あと、のだめ全体の指揮者像はカラヤンからは遠いっぽい気がする。ムズカシイネー

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