技術書の装丁

ある技術書をネットでポチった。出版社自体はそこそこ有名ドコロ。

届いた本は、今流のオンデマンド印刷をベースにした装丁が簡素なもの。このこと自体はポチる前から分かっていて、むしろ、その出版社が推し進めている新たなラインナップみたいなもんの1つになってることが買う前に確認できていた。で、「まぁ少し品質下がるくらいだろ」みたいな気持ちで、正直あまり気にしなかった。甘かった。

実際のところ、同じラインナップで以前買った本は、本の体裁こそ雑だけど、本として全然問題なく読めたし、情報源としては貴重だった。プログラムの本というよりは技術トレンドの本だったというのもあるんだろうけど、良著と言ってよかった。

ところが今回は事情が違った。ポチった技術書を開いて絶句。内容以前に「これはダメだな」と一瞬で脳が判定してしまい、肝心の中身を確認する以前に、そもそも本を開き続ける気力からして消え去ってしまった。

先日「技術書典2」を運営として手伝った&サークルとして出展したりしたけれど、そういうところでサークル(つまり個人)がひねり出してくる同人誌のほうが、本の厚さはともかく「愛」があったし、しかも装丁もまともだった。別に表紙に箔押ししろって言ってるんじゃないのさ。単にちゃんと読めるもので面白ければいいわけ。

で、問題の本の話。技術書籍として内容が良ければ良いのだろ、というのはもちろんある。ただ、一見してソースコードがとても読み辛いというプログラム関連の本としては大変に厳しい問題があって、一人の読み手の判断としては「最低ライン」を下回っているのだった。ぱっと開いてウェってなるものをなんで出してくる……

本文が読みやすいか読みにくいかというのには、当然主観が混じる。今回も大いに混じっている。ただあえて言うなら、これまで「出版社」から出てきた本で見たことのないようなものに、自分には思えた。

商業書籍の「匂い」を期待して本を開いたら、ワードを使って上下左右マージンをめちゃくちゃにして大した意図もなくフォントサイズとフォントを標準から変えてベタベタベタって書き付けたレポート本文がドーン。そんな感じ。

もう一度本を開けば、多分こんな負の感情も少しは落ち着くんだろうけど、どうにも「手抜きでも買うんですよね、あなたら」感がすごくて、自分が本から受け取った負のオーラみたいなものを、吐き出さずにいられなくなってしまった。

書籍としての品質維持を半ば意図的に諦めている割には、価格面では大して安くなっていなかったから「これは、いよいよ我々技術者でもある読者を舐めてきたんだなぁ……」とまで思う次第。ちょっと斜に構え過ぎだろうか。

折しも『「本をつくる」という仕事』という本を読んでいて、本の作り手たちのコダワリに「へぇ〜」って感動してたんだけど……

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