最近の仕事
記録
今年1月に転職して試用期間も終わってしばらく経った。前回も今回も「AIベンチャー」の類だ。
役職こそ(ソフトウェア)エンジニア、あるいは「シニアエンジニア」だが、今回に関しては「エンジニアリングマネージャ」という方がより業界目線では適切な気がする。あるいは、ある種の「PM」だったりもする。この場合のPは何か……ProjectかProgramだろう。
「AIベンチャー」といっても性質がいくつかあると思う。ここで私が最近関わっているのは
- ビジネス
- ソフトウェア・エンジニアリング
- データサイエンス
を3軸に据えるタイプの「AIベンチャー」に属する。
この3軸で話をする場合、時間経過も含めたバランスのとり方が大体問題になるようだ。
それは一連のプロジェクト(PoCから運用)における重みの変化であるとか、企業の成長フェーズそれぞれにおける役割分担であるとか、そういう側面で「時間が経過する毎に以下になめらかにそれぞれのフェーズを生き残って切り替えていけるか」という話だったりする。
単純に「PoCで終わり」というのは流石に話が浅くて、まずはそこはクリア出来る程度の体力があるものとしよう。「PoCのウケは悪くないとして……」というところから、より長期的に意味のある成果につなげていくのが真に難しいところだ。もっとも、技術的に難しいというより、本質的に、ソフトウェアを「日本の企業」が「日本の企業」に「継続的に」使ってもらおうとすることそのものが難しい、ということに思える。とにかくそう強く感じる。
こういう(3つの領域を軸とする)企業では、ある固有の理由から「3軸」という構想を描きがちのようだ。それ自体の良し悪しはともかくとして、このような構想を元に企業を考える場合、その3軸それぞれの強さもさることながら、実際にはそれらを取りまとめる「コーポレート・ガバナンス」を仕切る方に隠れたより重要な役割がある……というか、長期に成立させるための前提になるように思う。
この前提に対して手を入れていたのが前職の後半で行った仕事で、これは経営的な目線を獲得する、という観点でも、個人的に非常に大きな経験になった。まず浅く言えば「管理会計」なのだけど、そこで起きるいろいろな現象に対する理解は結局(経理であるとかコーポレート・ファイナンスであるとか労務とか人事とかそういうのを越えて)「コーポレート・ガバナンス」というぼんやりした表現に落ち着く。それは(ガバナンスという言葉で当初自分が想像していた)「監視する」とかいう意味合い以上に「会社のメンバーを如何に活性化し、かつ企業として活用していくか」という話につながってくる。
ある意味、企業が属する分野にとっても「特別な時代」(多分そうだ)において仕事をしている中で、無名と言い切れない前職と現職の2社の動きを連続で観察できている、というのは、興味深い
2社で似ている点と異なる点が混在している。「またかー」と思う瞬間と「今度はそうなるかー」と思う瞬間が混在する。大局的には同じ「特別な時代」でも、成長するタイミングについて微妙な時期の違いがあり、再現性のある何かが必ずしもはっきりするわけでもない。
特定の「やらかしポイント」においても、症状が正反対になることがあるのだ。一方ではケアをしなさすぎることによって、もう一方は独断的なマイクロマネジメントによって、問題は起きているが内実はほぼ正反対、ということが起こり得る。(10,000人いる企業と比較すれば)当事者が少数人という中では、個別の当事者の得意不得意、好みが如実にその企業の色を決めることをもはっきりと感じさせる。
一方で、構造が類似していることから、やはりよく似た利害の衝突というのがあるし、また組織内で同様に「陥りがち」な力学というのも見受けられる。どうしようもなく類似性を感じる場面では、思わずエルシャダイの「私にとってはつい昨日の出来事だが……君達にとっては多分、明日の出来事だ」というセリフが思い出されてしまうこともある。
お世話になった就活のエージェントの一人によると「この二社を通じた経験を持つAI人材というのは稀有」という話があった。まぁ随分ドメスティックでトリッキーなキャリアなんだけれども。
以前から知り合っている方々なら御存知の通り、大学在学中から(人の)マネジメントに興味があり、最終的にそちらに足を踏み入れたいと思っていた。
そういう観点から現職での仕事を振り返ると、現状、経験はどう控えめに見積もっても何らかの意義がある。場合によっては、このまま全力でマネジメントや経営の方向に踏み出すんじゃないか、という漠然とした感覚もあったりする。ただ、ここは需要の話であって、純粋の開発職とか場合によっては後追いで研究職という可能性も未だにあるように思ってもいる。ここは現時点では、今後どういうキャリア形成をしていくか、なんとも言えない。
つい5年ほど前は「マネジメント経験がないなー」と幾分、困っていたのだった。ところが現状で100%に近い比率でマネジメント業というのは、ちょっと極端という面がある。自分の感覚としては少し「早いすぎる」という感じもするし、ただ、こういうのは自分でフルにコントロール出来るものでもない。正直不安があるとも言えないこともなく、中々悩ましいのだが、仕事自体は今の所面白いので一旦は良しとする。