たまには雑記。意識したIT投資をしよう?

 なんの因果かコーポレート的な文脈で考えることが増えているのでそのあたりを。

雑に「IT投資」とか言っちまうけど、4パターンありえる

  1. 意識して、投資する
  2. 意識して、投資を抑制する
  3. 意識せずに、投資を抑制する
  4. 意識せずに、投資する(してしまう)
パターン1は「あっぱれ!」

国内の話を見ると、「主張としては」2が多く、実態は3が多い。考えている風な人ほど、結果的にはパターン2を主張するようだ

なんとなく勢いの良い会社は「意図せず」パターン4を踏んでいて、例えば何らかの成功をして「さぁ、ちゃんとした組織にするよ」というところで意識し始めたときに……パターン2を主張しはじめる :-p

「意識」ってなんだ、という話になる。

私の経験でも、ソフトウェア開発の流儀はわかっても「どういうソフトウェアを必要としているの?」「外部調達と内製、どっちがいいの?」は分からないことが多い。最近は大分土地勘がつかめてきたけど、それでも「外部調達」のハードルは領域毎にある。

例えば、普段TypeScriptとGoとPythonを書いているソフトウェア開発者やそのマネージャに「人事システムどういうのがいい?」と聞いて答えられるもんだろか。例えば労働法を知っているか、というところが先にネックになりそうだ。

数年前から、言葉が見つからないので雑に「管理会計」という軸で色々社内の状況を把握する仕組みについて考えたり自分で実際に作って社内適用したりしている。B/SやP/Lを掌握するのではなく、前段の人に起因する指標や社内の取り組み(よく「プロジェクト」と呼ばれる。PMBOK的には多分「プログラム」の方が正しいけど)をそこそこ定量風味に見るための機能だ。例えばSI的にアサインメントがあるものであれば「Aさんは来月70%ある案件に入る予定だったが110%稼働していた」ことを追いかけるし、プロジェクトの総工数も適時に(入力があった時点から)把握できる、といったところ。まぁそれだけだと工数管理なんだけどね

とあるお菓子メーカーが売上に対するイモ製品の割合を追いかけている、という話を聞いた。人の潜在力を発揮させられるかどうかを重視する会社なら、多分だけど、管理会計上で「人が輝いているか」を見る必要は必ずある、と思う。

そう思うんだが、問題は、こういった「仕組みをどう作るか」はソフトウェアそのものの問題というよりは、ソフトウェアで他の領域の問題を解決することにほかならず、両方知っている人が枯渇しているが故に、適切に解かれないということなんであった(問題は、〜ということなんであった)。

ありそうな展開は少数思いつく。例えば以下3つはすぐに思いつく「個人的にイマイチと思う展開」だ
  • なんとなくその業界のパッケージを導入し、既存のフローを維持するべくカスタマイズをゴリゴリさせる
  • その業界の人が、VBAとかJavaScriptとかでアレなソフトウェアをメンテナンスとか一切考えずに書いてしまい、継続的デリバリとかCI/CDのようなベーシックなことを一切考慮しないすっごいのを遺して手のつけようがなくなる。
  • ソフトウェア開発をよーく理解している人が、もう片方の問題を理解しつつ、探索的にソフトウェアを活用しながら、必ずしもソフトウェアに依らない解決法も含めつつ、全体最適を模索するが、成果が出るのに時間がかかるので叩かれる
上の3つには何らかのスパイスをかけるとまともになるトゥルーエンドがそれぞれありえるけどそちらは読者の実地演習(未解決問題)ということにしとく。

話を冒頭に戻すと、パターン1の「意識して」については割と苦労する人が多いのは事実らしい(世の中のベンチャーを名乗る零細・中小企業のCTOが話題にすることが多い)。また、興味を持ちえる立場にいる人も少ない。

また、実はパターン2というのは、多くの人が想像するのと比すると「ありえない選択」ということも見えてくる。そもそも「意識できない」人がほとんどいない領域で、仮に100歩譲っていたとして、昨今のありとあらゆる「あいてぃーりすく」みたいのを総合したときに、投資を抑制して何が起こるかは博打の領域になってしまうことに気づかないはずもない(APTって知ってる?)。つまり投資を(あなたが思う勝手な水準に)許容するという選択を取り得ないはずなのであった。たいていはるかに足りてないんだよ。「生殺与奪の権を他人に握らせるな」を地で行くのだ。パターン2だと主張する筋が、いざ実際にトラブルを見たときにはパターン3(別名「はだかの大様」)であった、というのがよくある話だろう。

個人的には最初の4つのパターンの分類そのものや、各組織がどれなのかを判定することにはあまり興味はない。ただ、このパターン分類の大前提になる「意識」を世の中がきちんと意識できていないのはどうもほぼ明らかで、故にその課題の解決には興味がある(純粋な顔)し、どう考えても必要なのに人が深刻にいない領域なので、やはり興味がある(ゲス顔)。

※ ちなみに「投資してるのならパターン4でもいいのでは?」と思うかもしれないけど、「パターン3でなくてパターン4だということは誰がどう判断したの?」みたいなところがあってお勧めしない。実のところパターン1とパターン3しか現実には多分存在せず、パターン3なんだけど、相対的に(熊から逃げ切れる程度に)パターン4寄りの会社が、サイコロがたまたま3回4以上だったので逃げ切ったのでパターン4っぽく見えているだけなんじゃないかなと。サイコロを振る人が少ない世の中では、それはそれで立派だと思うし、それ以上はあるステージではどうしようもないよね、と私はその状況については好意的だ。成功には運が絡むんよ

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