ロスト・ユニバースの先進性
AIネタを色々眺めているときに地味に先進的だと思い至ったのが、1990年の小説およびアニメ作品『ロスト・ユニバース』のキャナルだ。 今だと『ロスト・ユニバース』という存在そのものがロストしかけており、今ではヤシガニという謎の一単語以外記憶にない人も多いかもしれない。キャナルは宇宙船の制御システムで、今で言う汎用AIと考えて良い。後は素直にWikipediaでも見よう。 強いAIそのもので、90年代のアニメで声が林原となると概ねどういうキャラ立てなのかは割と分かるかもしれない (ただし綾波レイを想像してしまうとまずい)。ロスト・ユニバースと同じ原作者でリナ=インバースというキャラもいるので、余計に「ああ同じ声」となってしまうのは当時アニメ好きだった人の悪い癖だ。ちなみに記憶の限り、キャナルはリナほど横暴ではない。 で、作中で主人公がこのAI娘とチェスをする。AIが圧倒的に強いのであればそんなに驚きはないが……AIが途中でこっそりレベルを上げているという設定は、今考えると興味深い。 このAI、接待するどころか負けたくないという自我まであり、さらにレベルを上げていることをごまかすのである。SFなのでAI側のアルゴリズム的な能力が強力無比なのまでは分かるとして、そこまで人間臭くなくていーじゃねーか、と思う。 なお、同世代のAIには他にも例えば「オモイカネ」というのもいるのだけど、あっちはそういう面ではモラルがありすぎて語るものがない。ヒロインをサポートするために艦内設備使うのもアレだが、ヒロインと口論するくらいのAIの方がより問題が多そうだ。 #なお、このエピソードは私のふるーい記憶にもとづいているので、本当にそのシーンが小説・アニメ双方もしくは片方にでも実在するかはちょっと未確認だ。今確認するには当時の作品は全体的につらすぎる。